インドネシアは、ブラジル、ベトナム、コロンビアに次いで世界第四位のコーヒー生産国です。そのコーヒーは深いコクとフルボディの風味が特徴です。
本記事では、インドネシア特有のコーヒー豆「マンデリン」や「トラジャ」の特性と、それらを最も楽しむための飲み方を紹介します。
インドネシアコーヒーの基本情報
インドネシアコーヒーの概要を次の表でまとめました。
地域 | 味わい・香り | 生産量 | 豆の種類 | 栽培品種 | 精製方法 |
---|---|---|---|---|---|
スマトラ島、ジャワ島、スラウェシ島、パプア、バリ島、フローレス島、スンバワ島 | カカオ、土、ハーブ、タバコ | 世界第4位 | マンデリン、トラジャ、ガヨマウンテンなど | アラビカ種 10%:ロブスタ種 90% | スマトラ式、ウォッシュド、ハニープロセスなど |
各地域で栽培される豆には特有の加工方法があり、それが異なる香りや味わいを生み出します。
インドネシアコーヒーの特徴
日本で愛されるインドネシア産のマンデリン豆は、ハーブやスパイスの香りが特徴です。このユニークな風味は、インドネシア独自の「スマトラ式」精製法によるもので、他の国のコーヒーとは一線を画しています。
スマトラ式精製法とは
コーヒーの精製・選別プロセス
コーヒーチェリーから豆を取り出す作業を精製・選別と言います。この過程では、水中で発酵させる「ウォッシュド」方式と天日干しで発酵させる「ナチュラル」方式があります。ウォッシュドは豆の味をクリアにし、ナチュラルは豆にフレーバーが強く残ります。
スマトラ式は、ウォッシュドとナチュラルの利点を合わせた「セミウォッシュド」方法で、この方式によりハーブの風味とクリアな味わいが楽しめることが特徴です。
スマトラ式加工の特徴
代表的な生産地 | 味の特徴 | 利点 | 問題点 |
---|---|---|---|
インドネシア | ハーブや土っぽい風味 | 乾燥工程が短時間で完了 | 豆の選別に手間がかかる |
スマトラ式加工はインドネシアとアジアの一部で採用されており、その「野性的」な風味はマンデリン豆に特に現れています。近年、スマトラ島をはじめとするインドネシアの農園では、水洗式やハニープロセス(セミウォッシュド)などの新しい加工方法も導入されています。
インドネシア産コーヒーの代表的な豆の種類
インドネシアで特に有名なコーヒー豆の種類は次の5つです。
1.マンデリン
スマトラ島北部で栽培され、ハーブやスパイスの香りが際立ちます。通常、深煎りにされて豊かなコクと苦味を持ちます。
2.バリ・アラビカ(キンタマーニ)
バリ島で栽培され、水洗式で加工されます。クリアな味わいで、マンデリンよりも甘みとコクがあり、香りは控えめです。
3.ガヨ・マウンテン
スマトラ島のガヨ高地で栽培され、水洗式で加工されるため、マンデリンに比べてよりクリーンな味わいが特徴です。
4.トラジャ
スラウェシ島で栽培され、酸味と甘み、コクと苦味がバランス良く、フルーティーな風味があります。
5.ジャコウネココーヒー(コピルアク・コピルアック)
ジャコウネココーヒー、通称コピルアク(コピルアック)は、ジャコウネコが完全に消化しきれなかったマンデリン豆を使用して製造されています。これらの豆は、ジャコウネコの消化過程で自然に発酵し、独自の風味が形成されます。
このコーヒーは世界中で高く評価されており、古いウイスキーを彷彿とさせる熟成感と深い風味が特徴です。マンデリン特有のハーブの香りと熟成による甘みが絶妙に絡み合い、人気です。
インドネシアのコーヒー栽培環境の多様性
インドネシアでは、1つの農園で複数のコーヒー品種を同時に栽培する方法が普及しています。風味豊かなティピカ系やハイブリッド種が一緒に栽培され、より高い品質と安定した収穫量があります。
これらの品種は通常「スマトラ種」として市場に出され、インドネシアコーヒーの独特の風味を形成する重要な要素となっています。
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