イタリアのコーヒーと地元流の楽しみ方

コーヒーの豆知識

イタリアのコーヒーと聞けば、多くの人がエスプレッソやカプチーノを思い浮かべるかもしれません。しかし、イタリアでのコーヒーの楽しみ方は、日本とはかなり異なるものです。

この記事では、イタリアの独特な飲み方などにスポットを当て、代表的なイタリアのコーヒーブランド「ラバッツァ(Lavazza)」「イリー(illy)」「キンボ(KIMBO)」を紹介します。

イタリアのコーヒーを探る

日本で主流のドリップコーヒーとは異なり、イタリアで「Caffe(カフェ=コーヒー)」と言えばエスプレッソのことを指します。コーヒーを楽しむ場所は「Bar(バール)」と呼ばれ、夜にはアルコールも提供されることがあります。

イタリア人にはそれぞれ「mio bar(ミオバール)」、つまりお気に入りのバールがあり、そこではバリスタが常連客の好みを覚えていて、注文しなくても「いつものコーヒー」を出してくれます。

一般的なイタリアのコーヒーの飲み方

イタリアではコーヒーを立って飲むことが一般的です。バールには座席もありますが、座ると料金が高くなるため、必要がなければ立って飲む人が多いです。

一般的に、朝はカプチーノ、昼食後や休憩時にはエスプレッソが好まれます。エスプレッソは食後の定番で、砂糖を加えてよく混ぜるとキャラメルソースのような濃厚な風味になります。イタリア人はコーヒーを単なる飲み物としてではなく、デザートのように楽しみます。

エスプレッソの深掘り

エスプレッソとは

エスプレッソは細かく挽いたコーヒー豆を高圧で抽出する方法で作られます。最適な抽出圧力は9気圧とされています。一杯の量は通常25〜35mlで、コーヒーの量や豆の種類に厳密な規定はありません。

イタリアとシアトルのコーヒースタイル比較

エスプレッソには「イタリア系」と「シアトル系」の2つのスタイルがあります。イタリア系エスプレッソはロブスタ種の豆を25%以上使用し、アラビカ種の豆だけでは得られない独特の苦味やコク、香りを提供します。

焙煎は主に中深煎りから深煎りが用いられます。一方、シアトル系ではアラビカ種の豆を100%使用し、ミルクやシロップとの相性を考えて一般的に深煎りで仕上げられます。

本格イタリアンエスプレッソの意外な軽やかさ

イタリアエスプレッソ協会(Istituto Espresso Italiano, IEI)では、エスプレッソの品質を8つの基準で評価します。

  1. クレマの色
  2. クレマの細かさ
  3. アロマ(香り)
  4. 口当たりのコク
  5. 酸味
  6. 苦味
  7. 渋味の非存在
  8. ローストの程度

多くの人はエスプレッソを苦い飲み物と思いがちですが、正規のイタリアンエスプレッソは実際には苦味が抑えられており、非常にバランスの取れた味わいが特徴です。「コク」が9点、「酸味」が7点に対して「苦味」は4点と低く、香りやコク、酸味が重視されています。

特に重要視されるのがクレマで、色は濃いヘーゼルナッツ色であり、光沢があって濃密で細かいこと、またコーヒー液が見えない程度の厚みがあり、すぐには消えないことが求められます。

アロマは強く広がり、持続性があり、チョコレートや花、フルーツ、トーストの香ばしさが感じられることが評価点です。味については、苦味と酸味のバランス、渋味のない滑らかさ、コクの深さが評価され、それがどれだけ長く続くかも重要視されます。

クレマの重要な役割

クレマは、エスプレッソの抽出過程でコーヒー豆の油分が高圧で空気と混ざり合って形成される泡です。この泡にはエスプレッソの香り成分が閉じ込められ、味の決め手となっています。

エスプレッソを飲む際には、砂糖を加えてかき混ぜた後、クレマが保たれる間に飲むことが推奨され、その滑らかな質感が味わいの一部となります。

カプチーノの完璧な調和

カプチーノはエスプレッソ、泡立てたミルク、ホットミルクを等量で混ぜ合わせた飲み物です。本場イタリアでは、カプチーノの深いコクと苦味を保ちつつ、ミルクを加えてもその味わいを損なわないロブスタ種の豆が使用されます。

カプチーノはその保温性から、イタリアの朝食にぴったりで、特にブリオッシュと合わせて楽しむのが一般的です。

カフェマキアートの繊細な美味しさ

カフェマキアートは、エスプレッソに少量の泡立てたミルクを加えた飲み物で、「macchiato=染められた」という意味を持ちます。イタリアのバールでエスプレッソを注文した後、「un po di macchia per favore(少しミルクを)」と頼むと、バリスタが温かい泡立てミルクを少量加えてくれます。

これは、エスプレッソにわずかな「染み」を加えることで、その風味を微妙に変えることができます。

カフェラテの特徴

カフェラテはエスプレッソとスチームミルクを2:8の比率で混ぜて作られ、ミルクの豊かな風味とクリーミーな後味が特徴です。一方、カプチーノはコーヒーの風味が強調されます。

カフェラテは元々シアトル系カフェの定番メニューですが、最近ではイタリアのバールでも頻繁に見かけるようになりました。カフェラテを作る際は、先に温めたミルクをカップに入れ、その上からエスプレッソを注ぐことで、なめらかでミルキーな味わいが楽しめます。

ラテマキアートの特徴

ラテマキアートは、エスプレッソを泡立てたミルクの上に注ぎ入れて作ります。この方法でエスプレッソがミルクの白い泡に「シミ」を作ることから、その名がつけられました。透明なグラスで作ると、ミルク、エスプレッソ、泡の三層が美しく分かれます。

カフェコンパンナの説明

「コンパンナ」とはイタリア語で「生クリーム入りの」という意味です。カフェコンパンナは、エスプレッソの上にホイップクリームをたっぷりと乗せた飲み物で、特にシアトルのカフェで「エスプレッソコンパナ」としても知られています。

カッフェ・ドルゾの魅力

カッフェ・ドルゾは、伝統的なエスプレッソに代わり、焙煎した大麦を使用して作られます。見た目は通常のコーヒーと同じですが、味は苦くなく、よりまろやかです。

特に子供たち向けの飲み物として、ミルクや砂糖を加えて楽しまれています。バリエーションとしては、チコリやライ麦を加えたものや、本物のコーヒーとブレンドされた商品、有機栽培やグルテンフリーのオプションもあります。

カフェシェケラートの冷たい魅力

カフェシェケラートは、エスプレッソをベースにした冷たいイタリアンコーヒードリンクです。エスプレッソ、氷、砂糖をシェイカーで混ぜ合わせ、カクテルグラスにエスプレッソのみを注ぎます。

氷を使用せずに提供するため、薄まることなくコーヒー本来の味を保つことができます。これは、極端な温度の飲み物を避けるイタリアの飲食文化に適しています。

おすすめのイタリアンコーヒーブランド6選

イタリアを代表する人気のコーヒーブランドには、ラバッツァ(Lavazza)、イリー(illy)、キンボ(KIMBO)、ムセッティ(Musetti)、セガフレード・ザネッティ(Segafredo ZANETTI)、ビアレッティ(BIALETTI)があります。これらのブランドはイタリア国内外で広く知られており、特にラバッツァはイタリアの市場でトップのシェアを誇ります。

ラバッツァ(Lavazza)

ラバッツァ(Lavazza)は、イタリアのコーヒーブランドで、世界中でイタリアンエスプレッソを広める役割を担ってきました。選りすぐりのコーヒー豆を熟練の技術で焙煎することで、その豊かな風味が引き出されています。

イタリア国内ではスーパーマーケットでも手軽に購入可能で、その象徴的なコーヒーカップは広く親しまれています。また、フォーシーズンズなどの高級ホテルでも採用され、その洗練された品質が評価されています。

イリー(Illy)

イリー(Illy)は1933年にイタリアのトリエステで創業されたコーヒーブランドで、特に北イタリアで支持されるクリーンな風味が特徴です。適度な苦味と繊細な酸味がバランスよく調和し、エスプレッソやカプチーノの愛好家から特に高い評価を受けています。

現在では、世界140カ国で販売され、5万以上の飲食店で提供されており、イタリアを代表するコーヒーブランドとして名高いです。

キンボ(Kimbo)

キンボ(Kimbo)はイタリア南部の特有の力強い風味と深みを持つコーヒーブランドです。アラビカとロブスタ種の絶妙なバランスが特徴で、ミルクとの相性を考慮したラテなどに最適です。直接産地を訪れて選ばれた豆を使用し、ナポリの伝統を今に伝えるブランドとして、ヨーロッパやアメリカで広く愛されています。

ムセッティ(Musetti)

ムセッティ(Musetti)はイタリア北部のピアチェンツァに拠点を置く伝統的なエスプレッソメーカーです。複数のコーヒー豆を組み合わせた独特の深みある味わいが特徴で、特に「パラディソ」と名付けられたアラビカとロブスタのブレンドはクラシックなイタリアンエスプレッソを堪能させてくれます。

セガフレード・ザネッティ(Segafredo Zanetti)

セガフレード・ザネッティ(Segafredo Zanetti)はイタリアのボローニャを本拠地とし、世界に600以上のカフェを展開する大手コーヒーチェーンです。しばしば「セガ」と略され、栽培から焙煎、最終製品まで一貫した自社管理を行っています。

ブラジルにある自社農園で栽培された豆を自社の焙煎所で加工し、店舗では独自のエスプレッソマシンを使用しています。日本でも首都圏を中心に多くの店舗を構え、イタリアのバールの雰囲気を提供しています。

ビアレッティ(BIALETTI)

ビアレッティ(BIALETTI)はコーヒー豆よりも、その直火式エスプレッソメーカー「モカポット」で特に有名です。この「モカエキスプレス」は、イタリアの多くの家庭で一般的に使用されています。

ビアレッティのコーヒー粉は、モカポット専用に適した粒度で挽かれており、ユーザーが美味しいクレマを簡単に楽しむことができるように設計されています。

イタリアのコーヒーの魅力

この記事ではイタリアのコーヒーやバールでのコーヒーの飲み方に焦点を当てています。明るい国民性のイタリア人ですが、コーヒーに対してはバリスタの熟練した技術や認定エスプレッソの厳しい基準が、その職人気質を強く反映しています。

地元でイタリアンコーヒーを提供するセガフレードやイリーカフェなどの店舗が近くにある場合は、ぜひ訪れてみることをおすすめします。また、自宅にエスプレッソマシンがない場合でも、モカポットを使用することで簡単にイタリアのコーヒーを楽しむことができます。

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