この記事では、エチオピア産コーヒー、特に「シダモ」や「イルガチェフェ」といった主要な産地の特徴を紹介します。エチオピアのコーヒーは柑橘系の香りが豊かで華やかな印象を与えるものが多いです。
また、紅茶を思わせるユニークなフレーバーを持つ品種もあり、従来のコーヒーとは異なる新しい体験を提供しています。
エチオピアコーヒーの概要
ここではエチオピアコーヒーの基本的な情報をまとめています。
項目 | 情報 |
---|---|
地域 | 東アフリカ |
主な産地 | シダモ、イルガチェフェ |
味わい・香り | オレンジ等 |
コーヒー生産量 | 世界第5位 |
栽培品種 | アラビカ種54%、ロブスタ種46% |
精製方法 | ナチュラル・ウォッシュド |
エチオピアのコーヒーはそのフルーティーな酸味と柑橘系の風味で知られており、焙煎の深さによって酸味と苦味のバランスが変わるものの、深煎りであってもその香りが損なわれることはほとんどありません。これにより、どの焙煎レベルでもその魅力を楽しむことができます。
エチオピアコーヒーの二大特徴
フルーツに似た芳醇な香りや風味が特徴
先述した通り、エチオピアのコーヒーは柑橘系フルーツのフレーバーが特徴です。この独特の風味は浅煎りでクリアに感じられ、爽やかな酸味が際立ちます。
中煎りではフルーティな風味や甘みが前面に出る一方で、深煎りではチョコレートを連想させるコクのある味わいが楽しめます。
大部分の自生コーヒーがオーガニックである
エチオピアで生産されるコーヒーの約90%は自然に自生するオーガニックコーヒー、通称「フォレストコーヒー」です。残りの10%は農家によるプランテーション栽培のコーヒーとなっています。
エチオピアのコーヒー生産者の大多数は小規模農家で、大量生産の農園とは異なり、自然環境にある木から直接収穫するか、野生の苗を採取して自宅の庭に植えるなど、伝統的な方法で栽培しています。
エチオピア「モカ」の定義
エチオピア産のコーヒーで「モカ」という名称を見かけることがあります。これは、コーヒー豆がかつて輸出されていたイエメンのモカ港にちなんで名付けられました。
モカ港では、エチオピアおよびイエメンのコーヒーが輸出されていたため、これらのコーヒーを総称して「モカ」と呼んでいました。今日では「モカ」は特にエチオピア産のコーヒーを指すのに使われ、イエメン産は「モカマタリ」と区別されています。
エチオピアの主要なコーヒー産地とその特徴
以下にエチオピアの主要なコーヒー産地とその特徴をまとめました。
種類 | 産地 | 特徴 | 精製方法 |
---|---|---|---|
モカシダモ | シダマ地方及び周辺地域 | 柑橘系フルーツの風味 | ナチュラル |
イルガチェフェ | イルガチェフェ地区 | 強いフルーツの香りとクリアな味わい | ウォッシュド |
モカハラール | ハラール地区 | 完熟ぶどうのような甘みと香り | ナチュラル |
ゲイシャ | ゲシャ村 | ピーチ、アプリコット、ジャスミンなどの風味 | ナチュラル |
リム | オロミア州 | ラズベリーのような風味 | ウォッシュド |
ジマ | オロミア州 | オレンジの風味 | ナチュラル |
モカレケンプティ | ウォレガ地方 | オレンジの風味 | ナチュラル |
エチオピアコーヒーの精製方法
精製は、コーヒーチェリーから不要な部分を取り除き、豆の状態にするプロセスです。エチオピアでは、約70%のコーヒーが水を使用しない「ナチュラル」精製方法で行われており、これにより香りが強まります。一方で、ウォッシュド精製は味をクリアにする効果があり、特にイルガチェフェ地区では水洗いによるウォッシュド精製が一般的です。
エチオピアのコーヒー品種の詳細
エチオピアのコーヒー品種は、伝統的な在来種と、生産性向上のために開発された「JARC品種」の2つのカテゴリーに分類されます。これらは一般に「Heirloom(エアルーム)」と総称されています。以下の表で、各品種の詳細をご紹介します。
品種カテゴリー | 品種名 | 特徴 |
---|---|---|
野生に近い品種 | Wolisho (Walichu), Kurume, Dega, Bedessa, Kudhumi, Miqe, Sawa | エチオピアの森林に自生する品種で、15,000以上の変異が存在 |
JARC品種 | ゲイシャ、74シリーズ(74110、74165等)、Wush Wush | 干ばつに強い |
エチオピアの伝統コーヒーセレモニー「カリオモン」
エチオピアにおける「カリオモン」というコーヒーセレモニーは、女性が主に行う伝統的なおもてなしの一環です。このセレモニーは日本の茶道に似た儀式で、生豆の選別から焙煎、挽き、抽出までのプロセスを経て、最終的にゲストにコーヒーを提供します。全プロセスには約1時間を要することがあります。
エチオピアのコーヒー 塩を加える独特の風習
エチオピアでは、コーヒーに塩やバターを加えて楽しむ習慣があります。酸味が強いコーヒーに塩を少し加えることで、味がマイルドになり飲みやすくなります。
一部のカフェでは、コーヒーに混ぜるための塩味の液体をショットグラスで提供しており、客はエスプレッソマシンのスチーマーで泡立ててから好みの量をカップに加えます。酸っぱいコーヒーが苦手な方は、この方法を試してみてはいかがでしょうか。
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