コーヒーマニアが解説|パナマ産コーヒー豆の特性を紹介

コーヒーの豆知識

パナマ産コーヒー豆の特徴をまとめてご紹介します。

項目 詳細
地域 中南米(チリキ県、コクレ県、コロン県など)
風味・香り 花の香り、柑橘、果物、キャラメル
生産量 世界第34位(年間6,900トン、2021年データ)
主な栽培品種 アラビカ種(80%)、ロブスタ種(20%)(カトゥアイ、ゲイシャ、ティピカ、ブルボン、パカマラなど)
精製方法 ウォッシュド、ナチュラル、ハニー

パナマのゲイシャコーヒーは、その豊かな香りと複雑さで知られています。エチオピア産と比較しても独自の香りがありますが、市場には偽物も多いため、本物と偽物の見分け方を知ることが重要です。

パナマ産コーヒー豆の風味と特徴

パナマのコーヒー豆は、花やフルーツを思わせる複雑な香りが魅力です。特にジャスミン、マンゴー、グアバ、パパイヤ、柑橘類の強い香りが印象的で、一度飲むと忘れられない味わいを提供します。

エチオピア産とは異なる、中米の落ち着いた味わいとは一線を画す特性があります。主にアラビカ種が栽培されており、カトゥアイやティピカなどがありますが、ロブスタ種は主に国内消費用に使われています。

パナマでも栽培される有名なゲイシャコーヒー

1931年にエチオピアのゴリゲシャの森で採集されたゲイシャ種がパナマで成功裏に栽培されています。1960年代にエチオピアからコスタリカを経てパナマに持ち込まれ、チリキ県ボルケの「エスメラルダ農園」で栽培が始まりました。

エスメラルダ農園のゲイシャ種について

エスメラルダ農園で栽培されるゲイシャ種は、2004年の「ベスト・オブ・パナマ」オークションで高く評価されています。

1997年には高品質なコーヒー生産を目指して新たに土地を購入し、ゲイシャを含む多くの品種が栽培され始めました。ゲイシャはラニーニャ現象の際に生き残った貴重な品種の一つです。2004年の最初の収穫以来、そのユニークな味わいで人気が持続しています。

パナマ産ゲイシャコーヒーが人気の理由

パナマ産ゲイシャコーヒーが市場で人気の主な理由は、その独特の風味、栽培の難しさ、そして供給量の限られていることにあります。

パナマ産ゲイシャの風味は、世界中で愛されており、ゲイシャ種は特に葉が薄く、光合成が効率的に行われにくいため、栽培が非常に困難です。

このため、高標高地でのみ栽培されるゲイシャの生産量は自然と制限され、市場での供給量が少なくなっています。

パナマゲイシャの価値について

ゲイシャはパナマのバル火山周辺、標高1,700m以上の地域で主に栽培され、葉が薄く根も弱いため収穫可能な豆の量が限られています。需要が高い一方で供給が限られているため、市場で人気となっています。

また、スペシャルティコーヒー協会(SCA)で毎年高評価を受けていることからも、その品質が国際的に認められています。

特別な日に楽しむ高級ワインのように、パナマゲイシャは特別なコーヒー体験を提供します。そのため、「特別な日のコーヒーギフト」や「自分へのご褒美」としての価値が十分にあると言えるでしょう。

偽物のパナマゲイシャコーヒーの見分け方

パナマゲイシャの本物を見分けるための重要なポイントを5つ挙げます。

ポイント 説明
産地の確認 本物は主にパナマのチリキ県ボケテ地域で栽培されています。
信頼できる販売者 農場から信用され、評判の良い業者から購入することが重要です。
フレーバーノートの確認 強い花の香りや明るい酸味が特徴的なフレーバーです。
販売者への直接問い合わせ 「パナマゲイシャ」と表示されている商品でも、詳細を質問して確認することが大切です。

ゲイシャブレンドを購入する際は、ゲイシャの割合が重要です。日本では、ゲイシャの割合が30%以上であれば「ゲイシャブレンド」として認められていますが、100%ゲイシャの豆を信頼できる店から購入することをお勧めします。

パナマで注目されるコーヒー農園の概要

エスメラルダ農園について

エスメラルダ農園は、世界的に有名なゲイシャ品種を栽培しています。この農園はバル火山の麓に位置し、平均標高1,400mの地点で豊富な降雨を受けています。農園では天然林が保護され、農薬を使用せずに完熟したコーヒー豆だけを手摘みしています。

もともと牧場だったこの地に、1987年にコーヒー栽培が始められ、1990年代以降はスペシャルティコーヒーの研究が進められ、パナマを代表する農園の一つとなりました。

ハートマン農園の特徴

ハートマン農園は、サンタクララ地方に位置する家族経営の農園で、何世代にもわたって運営されています。この地域は海抜1,300~2,000mの間にあり、涼しい気候のもと熱帯雨林が広がっています。

農園では自然保護を重視し、在来の樹木やバナナの再植に努めています。ここでのコーヒー栽培は、自然に寄り添う農園の哲学を体現しており、労働者やバイヤーからも高い支持を得ています。

フィンカ レリダ農園の紹介

フィンカ レリダ農園は1924年に創業した農園で、パナマのコーヒー輸出の先駆けとなりました。特に2021年には「ベスト・オブ・パナマ」で賞を受賞したゲイシャ品種が注目されています。ボケテ地方に広がる農地で栽培されたコーヒーは、厳しい熟度管理のもとで精製され、その酸味と花や果実の香りで知られています。

ジャンソンコーヒー農園の概要

ジャンソンコーヒーファームは80年以上運営している農園で、三世代にわたって家族が運営している農園です。農園はボルカンバル地域の1,300~1,750mの高地に位置し、様々な精製方法を駆使して土地固有の風味を最大限に引き出しています。

パナマのコーヒー豆グレーディング

パナマで栽培されるコーヒー豆は、以下のように標高に基づいてグレード分けされています。

  • SHB(ストリクトリー・ハード・ビーン):標高1,350m以上
  • HB(ハード・ビーン):標高1,050~1,350m
  • EPW(エクストラ・プライム・ウォッシュド):標高900~1,050m

パナマSHBコーヒーについて

パナマSHBは、パナマで最も高いグレードのコーヒー豆とされ、標高1,350m以上で栽培されています。この高標高での栽培により、独特の味わいと香りが引き出されています。

パナマ産コーヒー豆の銘柄別特徴

ダイヤモンドマウンテンの特徴

ダイヤモンドマウンテンは、エスメラルダ農園が提供する特別なコーヒー豆で、国際的に高い評価を受けています。この豆は標高1,400〜1,600mの肥沃な高地でオーガニックに栽培されており、はちみつのような甘さとマスカットやりんごの爽やかな香りが特徴です。繊細な風味が楽しめるこのコーヒーは、手頃にパナマコーヒーを楽しみたい方にもおすすめです。

ゴールデンビートルの特徴

ゴールデンビートルは、ハートマン農園で栽培されているゲイシャ豆の名前です。この名前は、アメリカ大陸原産の金色の甲虫に由来しており、そのコーヒー豆はプラチナのように輝く美しさがあります。味わいは明確な柑橘系フレーバーが特徴で、爽やかな風味が楽しめます。

パナマコーヒーの品種解説

パナマでは多種多様なコーヒー豆が栽培されており、それぞれ異なる風味が特徴です。

品種 特徴
ゲイシャ 柑橘系のフレッシュな味わいとワインに似た繊細な香りが魅力
ティピカ 南部で多く栽培され、全生産量の70%を占める
ブルボン 豊かなコクと洗練された甘みが特徴
パカマラ エルサルバドルで選ばれたパーカスとマラゴジッペの交配種

パナマコーヒー生産量の詳細

パナマのコーヒー生産量は国際的に見ても少ない部類ですが、品質への注力が評価されています。2021年のデータでは、パナマのコーヒー生産量は世界で34位で6,900トンとされています。

生産年度 生産量(トン)
2021年 6,900
2020年 6,900
2019年 6,900
2018年 7,920
2017年 6,300
2016年 7,200

出典:国際コーヒー機関(ICO)

パナマは南北アメリカを結ぶ中央アメリカに位置し、国土面積は北海道よりやや小さい程度です。約17,000ヘクタールのコーヒー畑があり、これは川崎市や大阪の堺市と同程度の面積です。

パナマの生産量はブラジルの大規模農園と比較すると少ないですが、パナマスペシャルティコーヒー協会の取り組みが国内外で高く評価されています。

パナマの主要なコーヒー栽培地域

パナマのコーヒーは主に西部のチリキ県と中部のパナマ運河周辺で生産されています。チリキ県はパナマで最もコーヒー畑が集中しており、全体の3分の1以上の栽培地がこの地域にあります。

地区 詳細
チリキ県ボケテ パナマで最も初めにコーヒーが栽培された地域で、標高1,600mの高地で霧が多く、豆はゆっくり成熟します。酸味と軽やかなコクが特徴です。
チリキ県ボルカンバル 標高1,200〜1,500mで栽培され、強い酸味とコクがあり、エスプレッソブレンドに適しています。
チリキ県レナシミエント コスタリカとの国境に近く、酸味が控えめで花のような香りが特徴です。

アラビカ種が主流のこれらの地域とは異なり、パナマ中央部のコクレ県とコロン県では主に国内市場向けのロブスタ種が栽培されています。

パナマコーヒーの焙煎技術

パナマのコーヒー豆を焙煎する際は、フルーティーな風味を最大限に引き出すために浅煎りが基本です。家庭での焙煎はフライパンや手鍋を使用して均一に焙煎するのは技術が要求されます。

通常、弱火でゆっくりと撹拌しながら焙煎し、第一ハゼのタイミングで急速に冷却することが推奨されています。この急冷がないと、豆の中の熱が持続し、ゲイシャ豆特有のフルーティーさが損なわれる可能性があります。

浅煎りには約20分かかりますが、焙煎が進む速度に注意して、必要に応じて早めに終了することがコツです。より均一で確実な結果を得るためには、家庭用焙煎機の使用を検討すると良いでしょう。

パナマコーヒーの最適な抽出方法

コーヒー豆の挽き方について

パナマコーヒーはその軽やかな焙煎度により、挽き目によって風味が大きく変わります。ペーパードリップでは中細挽きが一般的ですが、フレンチプレスを使用する場合は粗挽きが適しています。

中細挽きは細かいフレーバーを抽出しやすく、ペーパードリップで粗挽きを使用すると酸味が減り、紅茶のような優しい味わいになります。一方、粗挽きは香りが強調され、より飲みやすいコーヒーが楽しめますので、抽出方法や好みに応じて挽き目を選ぶことが重要です。

パナマコーヒーを最適な温度で抽出する方法

沸騰直後のお湯は温度が高すぎて、パナマコーヒーから苦味成分が多く抽出されやすくなります。理想的な抽出のためには、お湯の温度を約90度に保つことが重要です。沸騰したお湯を一度コーヒーポットに移すことで自然に温度が下がり、適切な温度に調整されます。

抽出時間の管理

浅煎りのパナマコーヒーは抽出時間が長すぎると渋みが増すため、短時間での抽出が望ましいです。一般的には抽出時間は1分30秒が基本で、これには蒸らし時間も含まれます。蒸らしを省略すると深い味わいの抽出が難しくなるため、タイマーを使用して時間を正確に管理することをお勧めします。

お湯の注ぎ方の工夫

パナマコーヒー豆は浅煎りのため、お湯の浸透が困難です。お湯を太めの流れで注ぐことで、素早く抽出し、理想的な酸味とクリアな味わいを得ることが可能です。これにより、過抽出と後味の悪化を防ぐことができます。

フレンチプレスを使った抽出方法

パナマコーヒーを手軽に楽しむには、フレンチプレスがおすすめです。豆を粗挽きにしてフレンチプレスで4分間抽出することで、ペーパードリップでは得られない豊かな油分と深いフレーバーが楽しめます。

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