マンデリンリントンはインドネシアの北スマトラ州にあるトバ湖南岸のリントン地区で栽培されているコーヒーです。このコーヒーは濃厚な苦味と甘み、深みのある味わいが特徴で、スパイスの効いた風味が感じられますが、後味はすっきりして飲みやすいです。
本記事では、マンデリンリントンの魅力を詳しく紹介します。
リントンとはどの地域のこと?
リントンはインドネシアのスマトラ島にあるコーヒーの産地です。スマトラ島には10州があり、マンデリンブランドで知られる主要な産地はアチェ州と北スマトラ州のトバ湖周辺の高地ですが、リントンは後者に位置しています。
コーヒーのパッケージに「リントン」と記載されることが多いですが、正式な地名は「北スマトラ州フンムバン・ハスンドゥタン県」内の「リントンニフタ郡」「ドロクサングル郡」「パランギナン郡」などが含まれます。
マンデリンリントンの味わいの特徴
土っぽさと甘さが調和した独特のフレーバー
マンデリンリントンは、強い苦味と黒砂糖やチョコレートを思わせる甘さが特徴のコーヒーです。味わいは複雑でコクがありながら、後味はクリアで飲みやすいのが魅力です。クローブのようなハーブの香りや、土っぽい「アーシー」な香りが際立っています。
深い苦味を楽しむ人や、リラックスしてコーヒーを味わいたい人におすすめです。主に深煎りで焙煎されるため、酸味は少なめで、コーヒーの酸味が苦手な人にも飲みやすいと言えます。
マンデリンとリントンの違いとは?
マンデリンブランドのコーヒー豆は主にスマトラ島の北スマトラ州とアチェ州で栽培されています。アチェ州では「アテン」や「ガヨ」などの新しい品種が主流ですが、北スマトラ州では栽培がしやすい「カティモール」や「ティモールハイブリッド」などのハイブリッド種が多く見られます。
これらの品種は一般に「マンデリン」として販売されます。しかし、リントン地区、特にトバ湖南部では19世紀に持ち込まれたティピカ種が地元に適応し、「クラシック・スマトラ」として残っています。
この地区で「ガロンガン」と呼ばれる品種は古いティピカの風味を受け継いでおり、マンデリンリントンに使用されるこれらの品種は、アメリカで最高と評価されたマンデリンの味に近いとされています。
マンデリンリントンの特徴は「深煎り」で酸味が控えめ
マンデリンリントンを含むマンデリン系コーヒーは一般的に深煎りが多く、これにより強いボディと抑えられた酸味、甘みと複雑なフレーバーが生まれます。中煎りではコクと苦味が軽減され、トロピカルフルーツのような酸味が際立ちます。
浅煎りにすると酸味がさらに増し、フルーツジュースのような風味とスパイシーな香りが強まります。このため、好みによって評価が分かれることがあります。
アイスコーヒーやカフェオレに最適なマンデリンリントン
深煎りで仕上げたマンデリンリントンはアイスコーヒーとしても優れています。冷やしても香りは豊かで、甘さの中にハーブの香りが感じられます。飲み口はまろやかで、豊かなコクがあります。苦味と濃厚なボディが特徴で、ミルクを加えてもコーヒーの風味がしっかりと感じられるため、カフェオレにもぴったりです。
マンデリンリントンに似たコーヒー豆の選択肢
マンデリンリントンと似た味わいのコーヒー豆には「マンデリンアチェ」「ガヨ」「トラジャ」などがあります。「マンデリンアチェ」はアチェ州で栽培され、苦味と重厚感が特徴的です。
「ガヨ」はアチェ州のガヨ高地で栽培され、その深いコクと甘み、スパイシーさが際立ちます。「トラジャ」はスラウェシ島で生産され、マンデリンリントンと同じく力強い味わいですが、よりクリーミーで甘酸っぱいバランスが良いです。
マンデリンリントンの5つの特徴
リントンニフタの特徴
リントンニフタ地区は、その名前が示す通り、地名がそのままコーヒーのブランド名として採用されています。「マンデリンリントンニフタ」として販売されるコーヒーは、リントンニフタ郡及び隣接するパランギナン郡の農家が生産した豆が使われます。
この地区は特に、19世紀に導入されたティピカの系統である「ガロンガン」種を栽培しており、この地域固有の品種として知られています。
リントンミトラの魅力
「マンデリンリントンミトラ」は、リントンニフタ郡とパランギナン郡の選ばれた農家で栽培される100%ティピカ種のコーヒーです。「ミトラ」とはインドネシア語で「パートナー」を意味し、このコーヒーはティピカの柔らかさと、マンデリン特有のアーシーな香りやスパイシーさ、マンゴーのようなフルーツの風味を併せ持ちます。
精製方法は独特で、農家で初期処理された後、直ちに専用の精製施設に運ばれ、迅速な天日乾燥と精製が行われます。
リントンラスナの意義
「マンデリンリントンラスナ」は、リントンニフタ郡の小規模農家が生産するコーヒーのブランド名です。このコーヒーは、伝統的なティピカの在来種を使用しています。
リントンナチュラルの特性
「マンデリンリントンナチュラル」は、タパヌリ県シボロンボロン郡にあるランバン・コピ・マンディリ社が販売するコーヒーです。この銘柄ではアテン、ハイブリッドティモール、ジェンバーなどの品種がナチュラル処理法で精製され、栽培環境にはシェードツリーを利用するなどして、コーヒーの木が最適な条件下で育つよう配慮されています。
リントンビートルの特徴
「マンデリンリントン ビートル」は、コーヒー豆コレクターによって創設されたマンデリン系のブランドです。このブランドは、リントンニフタ地域でよく見られるヒメカブトをシンボルとして採用しています。
このコレクターは、リントンニフタから西に30分の位置にあるドロクサングル郡の小規模農家から直接豆を購入し、自分の精製所で加工した後、メダンのドライミルで最終的な加工を施してから輸出しています。
【補足情報】リントンアチェとは
アチェ州は北スマトラ州より北に位置し、ここでもマンデリンの栽培が行われています。リントンニフタ郡で栽培されるマンデリンは「マンデリンリントン」と呼ばれ、アチェ州で栽培されるものは「マンデリンアチェ」と称されます。
これにより、両者を混同して「マンデリンリントンアチェ」と呼ばれることもありますが、正式にそのようなブランド名は存在しません。
マンデリンリントンの精製方法
マンデリンリントンの主要な精製方法はスマトラ式です。この方法では、各農家で豆の皮をむき、半乾燥させた後に精製所に持ち込み、再び脱殻して乾燥させます。この工程により、マンデリン特有の複雑で豊かな風味が生み出されます。
主要な品種とその特徴
マンデリンリントンで使用される主要な品種には、ティピカの亜種である「ガロンガン」と「オナンガジャン」があります。「オナンガジャン」はリベリカ種とアラビカ種の交配種で、名付けられた村の名前から来ています。
その他にも「アテン」や「シガラウタン」などのハイブリッド種が広く利用されています。
高地栽培による昼夜の寒暖差がマンデリンリントンの特性を形成
マンデリンリントンは標高1100~1600メートルの地域で栽培されています。この地域の土壌は火山灰を豊富に含み、有機物も多い肥沃な土です。高温多湿の気候でありながら、昼夜の寒暖差が10℃から15℃に達し、これがコーヒー豆に独特な風味を与えています。
この地域の農園ではトバ・バタック族が伝統的な栽培法を続けており、現存する60~70年生の木もあります。現在も小規模農家がシェードツリーを用いて、ティピカ系の栽培に挑戦しています。
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