シェードツリー、別名日陰木は、日陰を作り出し、コーヒーノキを保護する役割を担います。コーヒーノキが理想的な環境下で育つには、これらの樹木が不可欠です。一部の農園ではシェードツリーを使用せずに栽培する場合もありますが、多くの農家はこれらの樹を利用した栽培を続けています。
この記事では、シェードツリーを採用する理由と、それに伴う一部のメリットやデメリットについても解説します。
シェードツリーの基本情報
シェードツリーとは
シェードツリーは、コーヒーノキを過酷な日差しから保護するために一緒に植えられます。これらの樹木は、適度な日陰を提供します。主に乾燥に強いマメ科の植物が選ばれ、適量の光を通す能力が重視されます。
バナナやマンゴーなど他の作物をシェードツリーとして活用する農園もあり、これにより果物の収穫も可能になります。
シェードツリーのメリット:コーヒーノキ保護
シェードツリーは、コーヒーノキの葉が直射日光で焼けるのを防ぐために非常に重要です。葉が焼けるとコーヒー豆の品質が低下し、豆のサイズが不均一になり、その結果、風味が不安定になることがあります。さらに、シェードツリーは強風や霜からも保護します。
シェードツリーのデメリット:収穫の挑戦
シェードツリーにはいくつかのデメリットもあります。コーヒー以外の樹木を植えることにより追加の労力が必要になります。また、シェードツリーがあると機械による収穫が難しくなり、手作業での収穫が必要になるため、農園にとっては手間のかかる作業となります。
さらに、コーヒーノキとシェードツリーが混在することにより、利用可能な栽培スペースが減少し、結果として収穫量が低下する可能性があります。
シェードツリーを活用している世界の有名コーヒー農園
1:ウリアス農園(グアテマラ)
グアテマラのアンティグア地区にあるウリアス農園は、標高1,600~1,800メートルの場所に位置しています。この農園は270年以上の運営し、古くから伝わる品種と栽培方法を守り続けています。
手間ひまかけた栽培により、アンティグア地区で高く評価され、世界でもトップクラスのコーヒーを生産しています。そのコーヒーは豊かな酸味と深みのあるコク、さわやかな後味が特徴で、香りも非常に良いです。
2:モンジョリーニョ農園(ブラジル)
ブラジルでも有名なコーヒー生産地にあるモンジョリーニョ農園は、2020年のブラジル国際品評会で第6位に入賞しました。農園は自然保護区と隣接しており、その地理的な利点を活かしています。
農園内から湧き出る泉水はコーヒー栽培に最適な環境を提供し、すべてのコーヒー収穫作業は手作業で行われ、高い品質が保たれています。フルーティな香りと甘み、ジューシーな風味が特徴的です。
3:メサデロスサントス農園(コロンビア)
コロンビアの山岳地帯に位置するメサデロスサントス農園は、周囲を谷に囲まれた理想的な環境でコーヒーを栽培しています。昼夜の温度差が香り高いコーヒーを育てるのに役立っており、農園は有機JASやUSDAオーガニックなど複数の認証を取得しています。
ここで生産されるコーヒーは柑橘系の香りと適度な甘み、香ばしい味わいが組み合わさったオーガニックコーヒーです。
4:キリマンジャロ農園(タンザニア)
タンザニア北部、キリマンジャロ山の麓に広がるキリマンジャロ農園は、約700ヘクタールの広大な土地にあります。農園は標高ごとに区画分けされており、それぞれで異なる品種の管理が徹底されています。
全ての収穫は手摘みで行われ、収穫後はキリマンジャロ山の清水を使用して洗浄し、アフリカンベッドで丁寧に乾燥させます。この農園からは柑橘系のフルーツや花のような酸味と、深いコク、清潔感のある後味のコーヒーが生産されています。
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