メキシココーヒーの特徴

コーヒーの豆知識

メキシコ産コーヒーの特徴を紹介します。

カテゴリ 詳細
地域 カリブ海近くのチアパス州、オアハカ州、ベラクルス州、プエブラ州
味わい・香り ナッツやチョコレートの香りと、柑橘類の軽い酸味
生産量 2021年のデータで世界第9位(249,180トン)
品種 アラビカ種のみ。主にブルボン、カトゥーラ、ムンドノーボ、マラゴジッペ栽培
精製方法 ウォッシュド方式で清涼感のある風味を実現

メキシコのコーヒーは軽やかで飲みやすく、柔らかな酸味が特徴です。2021年には、生産量が世界第9位に達しました。

メキシココーヒーの独特な味わい

ブルボン種をはじめとする伝統的な品種が栽培され、ウォッシュド加工によってクリアで繊細な味わいが生み出されています。

メキシコのオーガニックコーヒー生産状況

メキシコは世界第4位のオーガニックコーヒー生産国で、約7万ヘクタールのオーガニックコーヒー農園があります。これは東京の森林面積に匹敵します。2001年にはオーガニックコーヒー市場の60%を占めていましたが、現在はその割合が減少しています。山岳地帯の農園では伝統的な農法が続けられています。

メキシコのコーヒー文化

メキシコではカフェ文化が深く根付いており、夜遅くまで営業するカフェが多いです。「レチェロ」というドリンクは、エスプレッソに泡立てたミルクをたっぷりと注ぐスタイルで、ベラクルスでは特に人気です。

「カフェ・デ・オジャ」と呼ばれる伝統的な飲み方もあり、これはコーヒーをシナモンや黒糖と共に陶器で煮出し、時にクローブやトウガラシを加えるものです。

メキシコの主要コーヒー産地

チアパス州のコーヒー

メキシコ南部に位置するチアパス州、オアハカ州、ベラクルス州、プエブラ州は、国内コーヒー生産の約90%を担っています。チアパス州だけで全国の約半分が生産されており、熱帯気候と火山灰土壌がコーヒー栽培に最適な条件を提供しています。

この地域のコーヒーは、爽やかな酸味と軽い口当たり、繊細な風味で評価されています。グアテマラの一部であったチアパス州は、今もその文化がグアテマラと密接につながっており、地元のコーヒーは高品質なグアテマラ産コーヒーに匹敵する風味を持つことがあります。

オアハカ州のコーヒー

オアハカ州では国内コーヒー生産の約10%が行われており、オアハカ州コーヒー生産者ネットワーク(CEPCO)がオーガニックコーヒー栽培を支援しています。この地域のコーヒーはオレンジやココアの風味が感じられ、クリーミーで軽い口当たりが特徴です。

標高900~1,200メートルの地域で栽培されるブルボンやムンドノーボなどの伝統的な品種が豊かな味わいを提供しています。

ベラクルス州のコーヒー

ベラクルス州は、国内で第二位のコーヒー生産地で、主に中央山脈の湾岸側で栽培されています。この地域の高原では、「コアテペック」という名前のブランドコーヒーが特に有名で、ナッツやチョコレートの香りと軽い口当たりが消費者に愛されています。

メキシコFTOオアハカCEPCOの重要性

CEPCOは1993年に設立されたオアハカ州コーヒー生産者ネットワークで、フェアトレード・オーガニック(FTO)を推進しています。この協同組合は45の生産者団体から成り、3000人を超えるメンバーの大半が小規模農家です。

メキシコの注目されるコーヒー農園

ここでは、メキシコで特に評価が高い二つのコーヒー農園を紹介します。

オアハカ州にあるメルセデス農園

メルセデス農園は、オアハカ州プルマ地区の厳しい山岳地帯、標高2,500メートルの地点に位置しています。ここでは手間を惜しまず手摘みで完熟したコーヒーチェリーを収穫しており、酸味と甘みが絶妙にバランスした、繊細な香りのコーヒーが生産されています。

主に栽培されているのは「プルマヒダルゴ」という地元特有の品種で、その豊かな味わいは主にドイツ市場へと輸出されています

チアパス州のクステペック農園

クステペック農園はチアパス州の標高1,100メートルの山岳地帯にあり、100年以上あるこの農園は、シェードツリーを活用してコーヒーチェリーの成熟度を管理しています。

クステペックという名の渓谷に位置するこの農園は自然災害の影響を受けにくく、最適な気候条件が高品質なコーヒー生産を支えています。生産されるコーヒーはナッツやチョコレートの風味と柑橘系の香りが特徴です。

メキシココーヒーの品質分類

メキシコではコーヒー豆の品質を標高に基づいて分類しており、最も高品質な「ストリクトリー・ハイ・グロウン(SHG)」は標高1,700メートル以上で栽培される豆に与えられます。次に品質の高い「ハイ・グロウン(HG)」は標高1,000メートルから1,700メートルで栽培される豆になります。

メキシコのデカフェコーヒー生産

メキシコではデカフェコーヒーを生産する際に「マウンテンウォータープロセス」という水を使用した方法が採用されています。この方法はDESCAMEX社が独自に開発したもので、スイスウォータープロセスを基にしています。

特に、水に圧力を加えることで、豆の風味と香りを保持しています。2003年には国際オーガニック認証機関OCIAから認定を受け、北米を含む30カ国以上に輸出されています。

メキシコで栽培されているコーヒー品種

メキシコで主に栽培されているコーヒー品種は以下の通りです。

  • ブルボン:クラシックな品種で、豊かなコクと甘みが特徴。
  • カトゥーラ:ブルボンの突然変異種で、全生産の約20%を占める。
  • ムンドノーボ:ナッツやカカオの風味があり、スマトラ種とブルボン種の交配種。
  • マラゴジッペ:甘みと柑橘系の酸味が特徴のブラジル発のティピカ変異種。

メキシコのコーヒー生産量の動向

近年のメキシコのコーヒー生産量は国際的に注目されており、2021年には249,180トンで世界第9位にランクされました。

生産年度 生産量(t)
2021年 249,180
2020年 240,000
2019年 239,100
2018年 261,060
2017年 269,100
2016年 218,100

出典:国際コーヒー機関(ICO)

1990年代後半からフェアトレードとオーガニックコーヒー市場への適応により、協同組合の設立が進み、生産量は徐々に回復しています。

メキシココーヒー農家の新たな取り組み

2000年代にはチアパス州やオアハカ州で協同組合の設立が進みました。これによりフェアトレードが実現しました。協同組合は保険やインフラ整備だけでなく、教育や医療の提供にも注力しています。

オアハカ州では、コーヒー栽培を主とする先住民の組織が農業協同組合と協力し、地域社会全体を支えています。国内でスペシャルティコーヒーの需要が増加していて安定的に栽培が出来ています。

これらの取り組みは、メキシコ革命から続く自立の精神に支えられ、国内需要の増加とともに徐々に成果を見せ始めています。

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