コーヒー品種「SL28」の魅力を発掘｜起源や特性、おすすめ豆３選

「SL28」は、ケニア原産のアラビカ種の派生品種で、ブルボン種の子孫です。大粒で厚みのあるこの豆は、理想的な環境下で育つと、カシスを思わせる豊かな風味が引き出されます。

耐乾性が高く収穫量も多いため、東アフリカで広く栽培されており、地域内で非常に人気のある品種となっています。この記事では、「SL28」のユニークな特徴について説明し、オンラインで購入できるおすすめのSL28豆を３つ紹介します。

SL28の特徴と魅力

SL28の詳細探訪

SL28とは何か？その特性、そしておすすめの豆を３つ見ていきましょう。SL28は1935年、ケニアのスコット農業研究所で選抜されたアラビカ種です。この豆は、大粒で厚みがあり、カシスやベリー、柑橘類を彷彿とさせる濃厚な風味が特徴です。

豊かな収穫量と乾燥に対する強さから、アフリカのプレミアムコーヒーとして高く評価されています。現在ではケニアからウガンダをはじめとするアフリカ各地、さらにはマラウイ、ジンバブエ、中南米の地域にも広がっています。

適切な栽培条件下では、特に標高1800mの高地で高品質の豆が生産されます。カシスの風味とカモミールやバラの香りがこのコーヒーの特徴です。濃厚なカシスやブラックカラントの果実味が感じられ、ケニア独自の発酵プロセス「ソーキング」により、その風味に深みが増します。

香りはカモミールやバラのように華やかで、口当たりはシルクのように滑らかで深いコクがあります。レーズンやキャラメル、蜂蜜の甘さとシトラスの酸味が合わさり、グレープフルーツやワインのような爽やかな酸味も楽しめます。このジューシーな甘みは長い余韻を残し、忘れられない味わいを提供します。

SL28に最適な焙煎度は？

SL28は様々な焙煎度に対応できる柔軟な品種です。浅煎りから深煎りまで、幅広い風味の変化を体験できます。この豆のサイズと厚みが焙煎技術に一定の技術を要求します。

ライトローストからシナモンローストでは、ピーチの上品な香りと成熟した果実の甘酸っぱさが際立ちます。

ミディアムローストからシティローストにすると、ナッツのような香ばしさが感じられ、口当たりが滑らかになります。キャラメルの甘みと適度な柑橘の酸味が風味の深みを増します。

フルシティローストからイタリアンローストの深煎りでは、強い苦味をものともせず、豊かなコクが感じられます。この豊かなコクはアイスコーヒーにも最適で、洗練された芳香とビターチョコのような甘みが長く続きます。

SL28の基本情報

SL28の加工方法

「SL28」というコーヒー品種の加工方法は地域ごとに異なります。ケニアやタンザニアでは主にウォッシュド方式が取られ、ウガンダではナチュラル方式が一般的です。また、コスタリカではハニー加工が行われることもあります。

ケニアでのウォッシュド加工には「ソーキング」と呼ばれる特別な工程が含まれます。このプロセスにより、コーヒーの味わいはクリアになり、フルーティーな酸味が強調されます。

東アフリカでは、どの加工方法を用いても、「アフリカンベッド」と呼ばれる簡易的な設備で天日干しが行われます。これは木製の枠にネットを張り、乾燥を助けるものです。強い日差しを避けるため、カバーをすることもあります。

SL28の栽培環境

SL28の主な生産地であるケニアとウガンダは赤道直下に位置し、標高1300～2000メートルの地域にあります。このエリアの年平均気温は約20℃で、昼夜の気温差が約10℃あります。

土壌は火山性で酸性が低く、排水性の良いローム土壌です。これはアラビカ種の栽培に適した理想的な環境です。

年間降水量は約1500mmで、気候変動の影響で干ばつが発生しやすく、収穫量に大きな影響を及ぼすことがあります。

SL28はシェードツリーの下で栽培され、作業がしやすいように剪定されます。

この地域の農家は小規模で、SL34やRuiru 11など他の品種と混植されており、年に2回、手作業で収穫が行われ、共同の精製所で加工されます。

SL28品種の開発背景

SL28は元々スコット農業研究所（現在の国立農業研究所）によって開発されたコーヒー品種です。この研究所は1922年、英国植民地政府によってケニアに設立され、技術支援やトレーニングを農家に提供しています。

1935年から1939年にかけて、SL系列として選抜された品種にはSL28のほかに、ティピカから派生したSL34やSL14などが含まれます。SL28は特に1935年にタンガニカ（現タンザニア）の研究員によって見出された「タンガニカ矮小耐性」系統から選ばれました。

この系統は耐乾性が高く評価され、スコット農業研究所でその特性が確認された後、積極的に栽培が進められました。最近の遺伝学的研究により、SL28がブルボン系統に属することが明らかにされています。

おすすめのSL28コーヒー豆3選

ここで、特におすすめのSL28コーヒー豆を3種類紹介します。

ケニアAA Qグレード

ケニアの高地で栽培されたこのコーヒー豆は、Qグレード評価で83.58点を獲得し、その高い品質が証明されています。豆は大粒で、最上位の「AA」グレードに分類されています。香りはワインのように豊かで、フローラルな甘酸っぱさとマイルドな後味が特徴です。

2. COE2021 コスタリカ サン クリストバル

2021年のCOE（カップ・オブ・エクセレンス）で入賞したこの豆は、エレガントな香りと柑橘類の酸味が特徴です。果実味のある余韻が感じられます。サンクリストバル農園では、顧客の好みに合わせて焙煎度合いや挽き方を指定できます。

3. ケニア マサイ ライトロースト (スペシャルティコーヒー)

ニエリ地区とキリニャガ地区で選ばれた上質な豆を使用し、ドーマン社の品質管理チームが丹精込めてブレンドしたこのコーヒーは、品質の高さで注目を集めています。

浅煎りの状態では、豊かな果実の酸味とジューシーな風味が楽しめ、特にブラックベリーの風味にほのかな苦味が加わり、非常にバランスが取れています。一方、深煎りにすると、エキゾチックな香りが増し、口当たりがよりまろやかになり、ドライフルーツや黒蜜のような甘さが際立つようになります。そのため、異なる焙煎度での風味の変化を楽しむことをお勧めします。