カフェのメニューや家庭でのコーヒー選びでよく目にする「グアテマラ」のコーヒー。このコーヒーは日本でもアメリカに次いで非常に人気があり、豊かな風味と甘みが評価されています。
この記事では、グアテマラコーヒーの特有の特性と、その風味を存分に楽しむための飲み方や淹れ方について紹介します。
グアテマラコーヒーの基本情報
豊かな自然が育むグアテマラのコーヒー
グアテマラという国名は、先住民言語で「豊かな木の場所」を意味しています。高原が多く、豊かな森林に恵まれた「森の国」であるグアテマラでは、300以上のマイクロクライメイトが個性的なコーヒーの風味を育てています。
世界で認められるグアテマラのコーヒー生産
面積は日本の約三分の一にすぎないグアテマラですが、コーヒー生産量は世界で第10位となっています。全国340の自治体のうち204の市町村でコーヒーが栽培され、その品質は国の無形文化財にも認定されているほどです。
火山灰を含む土壌で育つ上質なコーヒー豆
シエラ・マドレ山脈とクチュマタネス山脈で栽培されるグアテマラのコーヒーは、火山灰を含んだ肥沃な土壌の恩恵を受けています。このような土壌はコーヒー豆の風味を引き立てるのに理想的です。
グアテマラコーヒー品質の向上に取り組むAnacafe
1960年に設立されたグアテマラ全国コーヒー協会(Anacafe)は、品質向上とマーケティングを推進してグアテマラコーヒーのブランド価値を向上させています。輸出ライセンスの取得や生産技術の向上に努める一方で、生産者と商社や焙煎業者が直接取引できるよう支援しています。
グアテマラコーヒーの魅力的な特徴
豊かなコクとチョコレートのような味わい
グアテマラ産のコーヒーは、深いコクと濃厚な甘さが魅力的です。生産地によって異なる果物の香りを持ち、チョコレートやキャラメルのような甘さが特徴的で、心地よい余韻が長く続きます。味わいは力強いものの、不快な後味は少なく、すっきりと楽しめます。
鮮やかな酸味が楽しめる
グアテマラコーヒーはその明るく鮮やかな酸味も特徴の一つです。産地によっては、オレンジやレモンのような爽やかな柑橘系の酸味や、リンゴやベリーのような甘酸っぱいフルーティーさが感じられます。
火山地帯に恵まれたグアテマラの地形
グアテマラは、火山地帯が多い山岳地帯、太平洋に面した海岸地帯、広大な平原地帯に分かれています。特に南部の山岳地帯には多くの火山があり、このエリアがコーヒーの主要な産地となっています。年間を通じて20℃前後の温度で、「常春の国」と称されるほど、コーヒー栽培に適した涼しい気候が維持されています。
昼夜の寒暖差がコーヒーの品質に与える影響
グアテマラは「永遠の春の国」と呼ばれるほど温暖ですが、高標高地帯のコーヒー農園では昼夜の寒暖差が大きく、これがコーヒーチェリーに糖分を増加させ、豊かな甘みを引き出しています。
シェードツリー栽培:自然林を活用した持続可能な農法
グアテマラのコーヒー栽培地の約98%では、自然の森林を活かしたシェードツリー栽培が行われています。この方法はアグロフォレストリーとも呼ばれ、生物多様性の保全と共に農業を行う持続可能な手法です。
1996年に施行された森林法によって、農園での樹木の管理が法的に定められており、これがグアテマラの持続可能な農業に貢献しています。
アンティグア:グアテマラを代表するコーヒー産地
アンティグアはグアテマラの中でも特に有名なコーヒー産地で、スパイシーでフルボディな味わいが特徴のコーヒーが生産されています。標高1,400mから1,700mで栽培されるブルボン、カトゥーラ、カトゥアイ種は、どの焙煎度でもその独特の風味が楽しめます。
高品質なアンティグアのコーヒーは、「GENUINE ANTIGUA COFFEE」と記された麻袋にパッケージされ、市場で高く評価されています。
ウェウェテナンゴ:グアテマラのもう一つの名産地
ウェウェテナンゴもアンティグアに並ぶグアテマラの主要なコーヒー産地の一つで、バターのようなリッチなコクと、フルーツやチョコレートの甘さが絶妙に絡み合うコーヒーが特徴です。
2022年の「カップオブエクセレンス」ではウェウェテナンゴ産のゲイシャ種が高評価を受け、過去3年間で最も多くの賞を受賞しています。この地域には「グアテマラ エル・インヘルト農園」など、世界的に有名なコーヒー農園が数多く存在します。
サンマルコス地域のコーヒー特徴
サンマルコスはグアテマラの8つのコーヒー産地の中で最も温暖な地域です。この地域のコーヒーは、キャラメルやチョコレートを思わせる甘いアロマとフローラルな香りが特徴的で、複雑なフレーバープロファイルを持っています。酸味は控えめで、飲みやすいバランスの良い味わいが楽しめます。
アティトラン地域のコーヒー特徴
アティトラン産のコーヒーは、スターバックスで取り扱われています。ナッツやチョコレートに似た濃厚な甘みとブルーベリーやオレンジのような柑橘系フレーバーが融合しており、そのフルーティな酸味とフルボディがコーヒー愛好家を魅了します。
コバン地域のコーヒー特性
コバンは降水量が多く霧が頻繁に発生する地域です。この環境で生産されるコーヒーはミディアムボディで、芳醇なコクとフルーティな風味が特徴です。マイルドな酸味も楽しめるのがコバンのコーヒーの魅力です。
フライジャネス高原のコーヒーの特徴
フライジャネス高原のコーヒーは、アンティグアのコーヒーと比較されることが多く、その深いコクとリッチな風味が「アンティグアに近い」と評されています。
ニューオリエンテ地域のコーヒーの特徴
1950年代からコーヒー栽培が行われているニューオリエンテ地域では、独特の強い酸味が特徴です。浅煎りや中煎りでは飲みにくさを感じることもありますが、フルシティローストで焙煎するとチョコレートのような風味と、後味にチェリーのような優しい酸味を楽しめます。
アカテナンゴ地域のコーヒーの特徴
ミネラル豊富な土壌が特徴の「アカテナンゴ」地域では、柑橘系のフルーティーな甘さと酸味が融合したコーヒーが多く生産されています。標高の高さがもたらす複雑なフレーバープロファイルがこの地域のコーヒーを特別なものにしています。
グアテマラコーヒーの理想的な淹れ方
グアテマラコーヒーは淹れ方によって味わいが大きく変わります。ペーパードリップでは、クリアな酸味と適度なコクを引き出せるため、特に浅煎りや中煎りのコーヒーに適しています。フレンチプレスを使用すれば、深煎りのコーヒーからしっかりとしたコクとチョコレートのような甘みを引き出すことができます。
また、コールドブリューでは苦味や雑味が抑えられ、豊かなボディと甘みが際立ちます。
グアテマラコーヒーの選び方
コーヒー豆の鮮度が重要
グアテマラコーヒーを選ぶ際には、豆の鮮度が非常に重要です。焙煎されたばかりのコーヒー豆は、焙煎日から数日後から数週間が最も風味が良いとされています。そのため、購入時には焙煎日を確認し、できるだけ新鮮な豆を選ぶことが推奨されます。
グアテマラコーヒーの焙煎度
グアテマラコーヒーは中煎りから深煎りまで幅広い焙煎度があります。中煎りからシティロースト(中深煎り)では、果実のようなフルーティな風味と酸味が際立ちます。一方で、フルシティロースト(深煎り)では、チョコレートのような風味と深いコクが味わえ、酸味は控えめになります。
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